ジョン・マルティネスという人が、高いジャマイカ産ブルーマウンテンを売っていた。しかしお客さんから「ヘイ、ジョン! オタクのコーヒー、高すぎるぜ」と文句を言われたらしい。マルティネスは「ノー! そんな法外なお金は取ってないよ」と知ってもらうために、より高いコピ・ルアクを売り始めたという。彼にとってはジョークのつもりだったのである。
では、なぜおいしいとはいえない、しかも冗談半分で作ったコピ・ルアクが、世界一高価なコーヒーになったのだろうか?
このコピ・ルアク、なんとジャコウネコの糞から取り出したものなのだ。「コーヒー豆」というが実際には「豆」ではなく、果実の「種」である。コーヒーノキという植物の果実から、果肉を取り除いた種の部分がいわゆる「コーヒーの生豆」になる。コーヒー農園では果肉を除き生豆にするために、水洗したり空気乾燥させたりする。
しかしインドネシアのコーヒー農園では、野生のジャコウネコがコーヒーノキの果実を餌として食べてしまう。そして種だけが消化されずに、糞として排泄される。農園でこの糞を丹念に探し出し、きれいに洗浄して乾燥させ、焙煎したのがコピ・ルアクなのだ。